ローエングリン(二期会)2月24日

福井敬さんのHeldentenorぶりが圧巻でした。東京文化会館に朗々と響き渡った。男は足の長さじゃない、としみじみ納得。とはいえ3幕の婚礼の場面では(壮麗なスペクタクルがなかったのは少々がっかり)、カーテンが開かれて出現したローエングリンが、「日ガスにするの賛成です!」の出川哲朗に見えてしまった。会場から失笑が漏れなかったのはすごい(聴衆の自己制御が立派だった)。ニーチェはローエングリンが聖堂騎士団の長「パルツィファルの息子だというんだ!」と笑いのめしていたが、なに、禁欲を誓った聖堂騎士団員といえどもウラで子作りをしていた可能性だってあるのだ(ボクはそう考えたくないけれども)。オルトルートの中村嬢。眼帯なんかつけて悪ぶっていたけれども、そして健闘していたけれども・・・。悪女・魔女のオルトルートはドラマの要。天下の東京二期会には、あっさりオルトルートをやれる、憎ったらしいデブデブの悪女がいくらでもいるだろうに。こういう時に二期会のために本領を発揮しないでどうするのだ。