ベートーヴェン『月光』の9度は届くか?

だれでも知っている『月光』。第一楽章と第二楽章はゆっくりだから、初心者でも弾けそう。(第三楽章のアルペジオはしんどい。それゆえ全音のピースでは難易度Cになっている。)初心者でも、指が届けば弾けるのだ。難関は冒頭8小節目に出てくる。右手がラと、上のシを押さえるのだ。

しかも上のシは四分音符だから、小指で押さえ続けながら、下のシと#レを弾かなくてはならない。
標準鍵盤ではどうだろうか。
ご覧のように白鍵ラの右端と、白鍵シの左端をなんとか押さえて、やっと弾ける。スパン21、5㎝のボク( Kurze Finger )だからギリギリ押さえられるが、もっと手の小さい女性などは、無理だろう。手品のように指を跳ばすことができない場合は諦めるほかない。『月光』は全音ピアノピースの通し番号No. 1、名曲中の名曲。これが標準鍵盤では弾けない。こんなことがあっていいのだろうか?

では7/8サイズのキーボードではどうだろうか?(Steinbuhler-Walter社の鍵盤)
ゆったりと押さえられる。
これらの中間に位置する15/16サイズのピアノ(ブラザー細幅鍵盤)でも、若干の余裕をもって9度(None)を押さえられるが、ここでは写真などを省略する(しつこいと嫌われそうなので)。

このあと16小節目にも、9度が出てくる。しかも続く18小節目でも繰り返される。
このドは付点二分音符なので、小指で押さえ続けながら右手で「シミソ」を繰り返すのは至難の業。スパンの狭いピアニストにとってはほぼ不可能だろう。

では7/8サイズ鍵盤ではどうか。(Steinbuhler-Walter社)
ご覧の通り、押さえられます。しかも、「シミソ」の繰り返しもできる。
ベートーヴェン自身は細幅鍵盤ピアノを弾いていました。1オクターブ 158,75mmのピアノです(現行の標準鍵盤は 165mm)。彼の『月光』を弾きたくても弾けない、現代の愛好家の状況について、ベートーヴェンは何と言うでしょう。

蛇足です。ボクの持っている全音ピアノピースのNo.1 『月光』には、クリストフ・エッシェンバッハのサインがあります。あのころ、彼の頭髪はフサフサしていました。

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