抑圧都市計画は打ち出の小槌
都議会のドンと言われる内田氏に関する週刊文春(2016年8月4日号)の記事を見てみよう。
内田氏が都の再開発を主導してきたことが記されている。大手町、丸ノ内、有楽町地区の「大幅な容積率の緩和」にタッチしてきたという。高層ビルが建てられるようになる、建設会社や不動産会社も潤う、というわけだ。私は石原伸晃氏が「内田センセイ」を持ちあげるスピーチをしているところをテレビで見たが、見ているこちらが恥ずかしくなるようなゴマすりぶりだった。大・丸・有に限らない。たとえば春日通りは30年前は道路に面している家屋、商店、食堂はみな二階建てだった。いまは道路に面している部分だけ、ペンシルビルが林立している。容積率が緩和されたのだ。住民や所有者は容積率が80%から100%、100%から200%、さらに200%から500,1000%へと緩和されればビジネスの可能性が倍増、倍々増する。だからペンシルビル一棟が建つまでに、陳情、談合、根回し、接待、などなど「男たちの悪巧み」がいくらでも展開できる。(最初から1000%になっていれば、話は簡単なのだ。)これに関与する区議、都議、国会議員などなどは、100%にする、その10年後に500%にする、・・・などの度に「票」を確保できる。おいしい思いができる。グリコのように一粒で何度でもおいしい思いができる、ウチダ、じゃない、打ち出の小槌なのだ。そういうのが何十件も何百件もある。センセイたちは忙しい(ところで、何のために政治に携わっているのですか?)。こんなすばらしい悪法、抑圧都市計画をセンセイたちが撤廃することはないだろう。都民のために働いていないのだから。
ちなみにウロ覚えだけれども、のちの大勲位、中曽根康弘氏が20年ほど前に「山手線の内側はすべて高層ビルにしたらいい」と言ったことがある(たまにはいいことを言うのだ)。するとジャーナリズムが「そんなことをしたら地価と住居費が高騰してとんでもないことになる」と批判して潰してしまった。そうだろうか? 住宅が数万戸単位で供給過剰になれば、安くなるのではなかろうか。ビル建設業者も、抑圧都市計画のない土地が豊富にあれば、安価に入手できるのではなかろうか。当時のジャーナリズムはもう、内田センセイのご意見を聞いていたのだろうか。それともただの天才だったのだろうか。