駐輪場がちょっとだけ充実
立川のハローワークに行ったら、合同庁舎に貧弱な駐輪場があった。西国分寺の都立多摩図書館に行ったときも、狭いながらも駐輪場があった。まずまずOKと思いたい。
――というのは、スミマセン、ウソです。
駐輪場が少なすぎる。しかも取り締まりがうるさすぎる。先日は国立駅南口のロージナ茶房の斜め前に自転車を止めていたおばちゃんが、警官2名にあれこれ指導されていた。あそこは私道だから、そこまで取り締まらなくてもよいのに(実際自転車はまばらだった)。秋津駅南口には料金制の駐輪施設が長く伸びている。民間のマンション業者が小銭を稼いでいる。
地球温暖化対策を、日本は本気でやるつもりなのだろうか? というか問うまでもなく、やる気は無い。京都議定書の京都とは、日本の都市なのだろうか。ここ10年ほどで変わったのは、スーパーのレジ袋が有料になったことぐらいだ。(焼け石に雀の小便ぐらいの効果だろう。)
ほぼ周知のことだがヨーロッパでは路面電車が再評価されている。10年ほど前にはジュネーヴで駅前のアスファルトが掘り返されて、埋められた市電の線路を露出させていた。車に乗らずに市電で移動しましょう、ということだ。化石燃料の消費をできるだけ抑える、という方向性を、ヨーロッパが共有している。ウィーンの市電の充実ぶりは100年前とほとんど変わらない。チューリヒの市電は、それがなければ町が麻痺するほどの交通手段だ。フライブルクの市電は車いすでも乗れる、綺麗ですてきな車両だ。ベルリンだけは、市電に乗った記憶がないが、100年前から地下鉄が四通八達しており、Sバーン、バスほかの交通手段が充実している。日本でも50年前には銀座に都電が走っていた。春日通りにも都電が走っていた。飯田橋から大曲、など部分的な記憶しかないが、以前は都電がかなり充実していただろうと思う。その後モータリゼーションがあって、線路がアスファルトで埋められたわけだが、今、掘り返さないのはなぜだろう。都バスが代行しているからだろうか?(それにしては停留所で待たされる。)京都議定書の目標値を達成しようという気がない、としか思えない。その証拠に、炭酸ガス排出量のペナルティ料金を中国やインドから数千億円で購入してごまかしているではないか。
えーと、もう少しヨーロッパの例を書きます。カー・トレインというのがあります。列車の後部が貨物車になっていて、そこに自動車を積む、乗客は列車前部の客車に入室して、車ごと目的地に向かう、というもの。私はウィーンからインスブルックまで、このカー・トレインで行きました。つまりインスブルック近郊ではドライブしたいし、あれこれ楽しみたい。けれどもウィーンからインスブルックまでは、ただの移動だから、別にドライブしなくてもいいわけです。ざっと500㎞ほどあります。予約しておいて、朝の5時にウィーン西駅に車ごと入ってしまえば、あとは現地まで寝て行けるわけです。料金もリーズナブルでした。だからインスブルックに行く車、50台とか80台とかのガソリンを節約する、そしてほぼ定期的な貨物列車を有効利用する、というなかなか賢明なアイデアだったと思います。
より細長い日本では、たとえば北海道でドライブしたい人たちは、カートレインで寝ながら北海道まで行けばいい訳です。青函トンネルが飛行機に負けそう、なんて話はこれで沙汰止みになるはず。近くても軽井沢で別荘生活、ドライブを楽しみたい方々は、カートレインで上野から軽井沢まで寝ながら移動すればよいのです。(どうやら新幹線しかなくなった模様。もったいない話です。)なお、いまネットで調べると、日本でも1985年以降似たようなカートレインはあった。ただしヨーロッパとちがって狭軌であるため、5ナンバー車でも積載が困難であったこと、さらに国鉄の分割民営化の結果、地域が細分化されて料金の取り分の調整が面倒になるなどして、ジリ貧になったらしい。とはいえ。そーんなことは、本当にやる気があればクリアできるのでは。新幹線は広軌だから午前4時、5時台なら活用できるのでは。日本のお盆休みには全国的に大渋滞が起きる。8月13日から15日を中心に数百万人が車で移動するから、当然です。(たとえばドイツでは州ごとにずらして夏期休暇に入るので、ある程度渋滞が回避できます。)猫も杓子も観光地にドライブして、ひどい「特別料金」を支払って宿泊して、のろのろ運転で渋滞高速道路をやっと帰ってくる、これで充実した人生を楽しんだ気分でいるとしたら、日本人はたいへんな天才です。
自転車は化石燃料を消費しない、理想的な交通手段です。ドイツ、オーストリアでは自転車道が整備されていて、交通信号も歩行者とならんで自転車のための信号もあるのが普通です。
とはいえそれは必ずしもドイツ、オーストリアのためではない。まじめに京都議定書の目標値を達成しようとしているのです。温暖化によって海面が数㎝上昇したら消滅するような国は、アジアにあります。そして今回の「異常気象」によって100人を越える犠牲者を出した日本は、まさに当事者ではないでしょうか。スーパーのレジ袋を有料化した程度で、この恐るべき地球温暖化が阻止できていないことを、政府は認識できないのでしょうか。認識できないまま来年以降も中国やインドから炭素代を千億円単位で購入してクリアしようとするなら、この政府は国民を殺す政府ではないでしょうか。