🎹『タンホイザー』序曲を細幅鍵盤で弾いてみた
1980年代のウィーン。ノミの市で一山数十シリング(当時。今はユーロ)で買った古楽譜のなかに、このアウグスト・ホルン編曲の『タンホイザー』があった。
見開きのページは、しみじみレトロで、なかなか良い。
ところが残念ながら、この楽譜は「手デカ」用で、スパン 20,5 cm のボク・ Kurze Finger には弾けたものではなかった。猫に真珠である。こんな風に10度、11度が頻出する。
しかーし。数年前入手したDS 5.5 のコンソール(Steinbuhler-Walter社製)ならば、演奏可能なのである。
文字通りの無謀曲、見切り発車、鑑賞非対応です。16分間の辛抱です。
ご存知の通りDS 5.5 の鍵盤幅は1オクターブ 14cm。(標準鍵盤は 16,5cm。申し訳ないが、標準鍵盤なんて見たくもない。)このコンソールのお蔭で、数十年越しで「弾きたかった曲」がやっと弾けるようになった。感謝。
『タンホイザー』は10回以上、ひょっとすると20回ぐらいは視聴している。初めて「聴いた」のは1976年の二期会公演で、東京文化会館の天井桟敷で非常口灯の灯りを頼りに、ドイツ語テキストを読んでいた。(当時は日本語字幕なんかなかった。字幕が提示されるようになったのは1980年代後半と言われている。)
ヴァーグナーについては、書き出したら切りがない。ある程度親しんでいる方々には、この貧弱なコンソールの拙演でも、それぞれの場面の雰囲気がかすかに感じられるのではないかと期待する。バッカナーレのところでは、カスタネットが欲しかった。