弾きやすいキーボードを設計した(本邦初公開!!)
パンパカパーン!! 弾きやすい鍵盤の設計図を公開します。
これは、長年の試行錯誤の末、これまでの標準鍵盤、細幅鍵盤ピアノの欠陥を修正する、画期的なキーボード設計です。
まず DS 5.5 (1オクターブ 140mm)の設計図をごらんください。
*図にはクリアランス(木材を切断する際の鋸の幅)を描き込んでいない。実際の鍵盤の寸法はこの数値より小さくなるのが普通である。ただしクリアランスの工夫によって数値が増大すべき箇所(Cなど)があるので、上に注記してある。)*本図はPD(パブリックドメイン)である。誰でも自由に活用ないしアレンジしてよい。
特徴
1.まず白鍵ソとラの上部が、12.5 mm 以上と、レの上部と同じ幅になっています。(現状、手元のSteinbuhler-Walter社のDS 5.5 のピアノは 11mm で、指が入りにくい。)
2.そして黒鍵上部の幅が8mm 以上と、やや広くなっている。(現状は7mm で、指先の細い女性などは外しやすい。)
ボクの右手中指の先端の幅は、実際には16㎜ほどある。11㎜ではきつすぎる。
従来の鍵盤設計の欠陥
1.1オクターブの7枚の白鍵を同じ幅にしていることが、禍根を残している。
上の図は、「ぴあのピアノ」さんのHPにあったもの。白鍵上部Aと、Bとでは、Aの方が35分の1aほど幅が広い。(aは白鍵の幅。)ミナズキさんによれば、標準鍵盤ではAが0,67㎜ほど広い。(ミナズキさんの「鍵盤の幅は全部同じ?鍵盤の不思議」をご覧下さい。)
どうしてこういうことになるのか?
上の図は(C) 私は何からできているのか に提示してある、ベヒシュタインの鍵盤のサイズである。ご覧のように、レの上部は13㎜だが、ソとラの上部は12㎜になっている。なぜかというと、
ド、レ、ミの白鍵3本のスペースで、#ド、#レも含めた5本のキー(アクションを作動させる木材)を収めているのに対して、ファ、ソ、ラ、シの4本のスペースには#ファ、#ソ、#ラも含めて7本のキーを収めなければならないからだ。
それゆえ、白鍵ソとラの上部が窮屈になっている。この標準鍵盤の方式をそのまま7/8サイズのキーボードに適用すると、白鍵上部が恐ろしく窮屈になるから、黒鍵を細くしたのであろうと推測する。それがマチガイなのだ。
白鍵の幅はすべて均等でなければならない、という前提が元凶なのである。
上の図をご覧ください。7枚の白鍵を a と b の2つのグループに分けています。ド、レ、ミの a グループは5本の鍵盤棒をカヴァーするので、全体のオクターブ幅 w=width の5/12のスペースを割り当てられる。ファ、ソ、ラ、シの b グループは7本の鍵盤棒をカヴァーするので、全体の7/12のスペースを割り当てられる。個々の鍵盤の幅は、a グループではw=width の5/12/3となり、b グループでは7/12/4となります。
違和感がどれほどになるのかは、まだ不明です。DS 5.5 では a と b との違いは1㎜程度になります。若干弾きにくいかも知れない。それでもピアニストが慣れれば、克服できるのではないかと予想します。現行の、黒鍵間に指が入らない、黒鍵が細すぎて指が外れる、という物理的な弊害はこれにより克服されます。(なお上の図は universal です。つまり「手デカ」さん用に仮分数鍵盤、1オクターブ 180mm のキーボードを作る場合にも適応可能です。)