🎹京都府のTさんがバッハ平均律第4番嬰ハ短調BWV849を弾きました

ボクがまじめにバッハを弾いたのは約60年前、中学2年でインヴェンションの3声、15番を弾いたのが最後。平均律ではPreludio 1をいたずら弾きした程度。4番を聞くのは初めてだ(たぶん)。Preludio 4 は美しくて、ピアノ曲としても聞ける。ところが Fuga 4 は重層的で、低音部はパイプオルガンの足鍵盤のよう。中高音部も、主旋律と複旋律を引き分けているみたい。さすがはディアパソン・ピアノのグランド、と思ってしまう(40年ものだけれども)。京都府のTさんの腕前が発揮されている。

Tさんのコメントから。
美しい曲ですが、フーガが5声です。5声というと、どんなに難しいのだろう、と思ってしまいますが、どこかの声部は休みだったり、長く伸ばしていたりするので、そんなに弾くのは大変ではありません。平均律は、48曲全部を学生の時に勉強(練習)しましたが、5声よりも4声の方が難しさを感じます。とは言え、楽譜通りに弾こうと思うと、どうしても指が届かない箇所があったり、届いても無理に指を広げているため、ぎこちない演奏になってしまったりします。フーガのテーマ(主題)を浮き立たせるためには、すべての指を自在にコントロール出来なければならないですが、ギリギリ届く、という状態では上手く弾けません。指が届くから大丈夫、というわけではなく、余裕を持って届かなければ、きれいな演奏は出来ないという事です。私が弾いているDIAPASONのピアノは、1オクターブにつき1センチしか狭くないので、まだまだ弾きづらさを感じます。(以上)
Tさんが緑色の四角で囲んでいる、弾きづらい箇所を、手元の全音楽譜で確かめてみた。すると29小節目は、

Cis の音を左手の1指で弾くのは同じだが、上段に表示されている。この定価400円の楽譜は、おそらく江古田の古本屋で購入したもの。監修者の名前もなければ底本の表示もない。
もう一箇所、56小節目は、Tさんの楽譜と同じである。

ウチのDS5.5のピアノ(7/8サイズ・キーボード)でこの箇所を弾いてみたら、難なく押さえられた。
ボクのスパンは20,5㎝、Tさんのスパンは左19,5㎝、右19㎝である。届くのに弾けない Kurze Finger としては、内心忸怩たるものがある。なぜTさんは、DS5.5のグランドピアノを入手できないのだろう? これは不当なことではないだろうか。
蛇足。上記の古本屋で買った全音楽譜のPreludio 4 には、カラフルな書き込みがある。

右上に「哀愁的」「空想的」、その下に「無限旋律」。江古田だから、おそらく武蔵野音大の学生がレッスンを受けながら書き込んだのだろう。ざっと50年ほど前に。たぶん18才前後の青少年が、懸命に練習していた。その後の人生は? 今はバッハを弾いているだろうか?

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