七月歌仙「百合の丈」の巻

白塔歌仙会第四五五回月例会「百合の丈」の巻 満尾(治定) 立句。順番で七緒。候補を5~6句出したところ、元締めの恆雄さんが、これが「刺さった」と言う。
類句は少ないと思う。男性俳人は水切りなんかしないし。女性俳人は、日々の雑用ぐらいにしか捉えていないのかも。
なぜ百合か。細幅鍵盤を試弾に来る人が、先月は二人いた。未知の住居に踏みこむと、匂いが気になる。それゆえ匂い消しに
百合の大枝を一本、国立市中央フラワーで購入して、毎日水切りをする。10日ぐらいは保ちます。

水切りに日々詰まりゆく百合の丈    七緒

    銭苔蔓延るタワマン屋上        恆雄

  天と地の夜の輝き愉しめる           和子

  次の休みは川舟流し           悦子

角立てて折り紙に似た白桔梗      果穂

 月が見えたよ跳ねるウサギは?    笈羅

ウ  二つ星はるか隔てて杵と臼       恆

泉の車両に満男が飛び乗る      七 『男はつらいよ、寅次郎の休日』で、日田に向かう泉ちゃん(後藤久美子)が新幹線に乗る。見送りに来た満男が、発車ベルと共に、思わず車両に跳び乗る。そう来なくっちゃ!!

不真面目なアイツが真面目な恋をした 

 畑仕事も趣味の一つに       和

本業が遊びの世界それもあり     笈

ラーメン券買う新紙幣にて     果

月凍てる部活帰りの女学生      和

   まばゆいばかり大根並ぶ      笈

赤い風車ラインダンスの靴が鳴る   七 一度だけ、モンマルトルのムーラン・ルージュの客となった。ダンサーは女丈夫。腰蓑のようなビーズが回転して頬に当たった。

 ツイッギーは妖しい踊り子     恆

花冷えに熱湯落とす珈琲自慢     果

常連客のスミレのカップ      悦

ナオ 盃満ちて白魚の柄浮かび立つ     恆

床の間の軸確か虚子の句      和

あれあいつ挨拶したけど誰だっけ   笈

やたら手を振る都知事候補は    七 駄句を。「嘘つきが和服で登るピラミッド」。

ヤジ馬も笑って黙殺汗の顔           悦

夏陽に光る小さなシャベル     果

ままごとのママはお昼寝風さやか   和

投票デートで独裁排除       恆

ラブコール届かぬ周庭、スー・チーに 七 香港では周庭が7ヶ月収監されて、カナダに亡命。ミャンマーではスー・チーが禁固33年。習近平・中国の暴虐は千年前のモンゴルとどう違うのか。国際社会はどう規制できるのか。

    英国領の遥かな香港        果

戦場に残る友あり月いざる        悦

 流れ星目に不安もよぎる       笈

ナウ 野分去りもぬけの殻の朝の空      恆

 フランスパンを抱えて散歩     和

   七年のホテル暮らしをあとにして   悦

  帰りなんいざ竹林の里       七 イメージとしては『トゥーランドット』二幕前半の、ピン・ポン・パン三大臣の「田舎に帰りたい」歌。大臣がホテル暮らしをするはずもないのですが。お目こぼしを。

花守が去来に捧ぐ花一輪       笈

踏み心地良きボティチェリーの春  果