八月歌仙「秋祭り」の巻

ふだんは郵便でしか連絡のとれない、つぎを さんが立句。
akimatsuri

白塔歌仙会第四五六回八月例会「秋祭り」の巻 

オ  幟立ち村に活気の秋祭り            つぎを

    空は茜に群舞の蜻蛉             恆雄   

   三日(みか)の月山の峰より登りきて      悦子  

    ヤッホーの声夜のしじまに          笈羅 

   避暑地とて減便のバスやっと来る        七緒
             運転手不足で、ローカル・バスは消滅の危機。

    雷ゴロゴロ急ぎ乗り込め           和子 

ウ  ジャラジャラと会話彩るアクセサリー      果穂 

    赤い口紅僕は苦手さ              悦 

   うなじから密かに覗く辰の爪           恆    

    刺青(タトゥー)だらけのメジャーリーガー   七
                    前句の恆雄さんをフォローしたつもり。

   甲子園開場100年白熱戦            和    

    スケボー用語ファイブフォーティー       果  

   下駄履きで怖々渡る凍る湖(うみ)        笈    

    弦月研ぐ蓮骨突兀                恆   

   上野まで弁財天の御参りに            悦    

    島に潜むは忍びの者か             笈   

   花見時有象無象が飲み明かす           和    

    かんぴょう巻の海苔の光沢           果   

ナオ ブザー鳴る次は義経千本桜            七
                  助六弁当を食べていたことにしました。

    鼓膜の奥に兆す幻聴              恆 

   林間に走りゆく影瞬く間             笈    

    水しぶきあげ何か飛び込む           和   

   ぞっとするセイレーンの歌海霧の中        果    

    パラソル廻すファム・ファタール        悦  

     習いたし妲己のお百に色の術           七
                妲己のお百はスーパー遊女だったらしい。

    女装の男も毒婦になるとか           和   

   どっちを取るの噂咄とこのあたし         悦    

    はった!はった!と勇まし胴元         笈   

   サイコロの象牙六面冷ややかに          果    

    栗羊羹でマラルメを読む            七
     マラルメの「骰子一擲」が707語から成ることから、最近は新たな解釈が出ているらしい。

ナウ 夕窓に榲桲(まるめろ)留まる陽は黄金      恆    

    メダイユ掛けて続々帰国             果  パリ五輪の中継たけなわ。

   出発だ楽しんでこようハリウッド         笈    

    聖なる森に貌鳥住まう             悦
                     Hollyは「ひいらぎ」。「聖林」は誤訳です。  

   熊野古道峠に開く花緞子(どんす)        七    

    春の畑ゆく文金島田              和  

 

連衆:つぎを、恆雄、悦子、笈羅、七緒、和子、果穂。

令和六年八月三日 首、令和六年八月十七日 尾(文音)