アメリカのコンソールの長所

調律師のISAMU. H氏が「ね、 Kurze Finger さん、これ聞いてみて!」とウチのDS5.5のピアノの高音部を鳴らした。リンリン、ランランというベルのような音。「こういう音は、日本のピアノでは出せないんですよ」とのこと。
フレーム、ピアノ線の金属が違うのか、響板の木材が違うのか。福島琢郎というエリート・ピアノ製作者(早稲田卒、ニューイングランド音楽院とチッカリング社で研修、スタインウェイ社で一年研修)が講演でこう言っていた。「日本で採れる木のものは、どれも皆何と言い表していいか、カキクケコというような音が出る。あちらのものはパピプペポのような音が出て、同じ拵え方でありましてもそういう風で、日本の木そのものがどうも膨みのある音が出ない」(「日本のピアノ100年」145頁)。もともと東南アジアのモンスーンの吹く地帯に属する日本の木は、湿っていて樹脂が多くて、乾燥した欧米の楽器と同じ(ような)ものを作るのには無理がある。竹を使った尺八とかガムラン音楽なんかが向いているはず。ヤマハ、カワイ等のメーカーは涙ぐましい必死の努力でピアノを製作しているわけだ。
ウチのDS5.5のピアノの高音はキラキラしているので、ラ・カンパネラとか(もちろん悪戯弾き)『タンホイザー』序曲のバッカナーレ(同前)が面白いほどよく鳴る。ラ・カンパネラ(鐘)は「ベル」だから、あたりまえかも。
これまで散々ウチのDS5.5のピアノについて愚痴を書いてきたけれども、少々認識を改めた。必ずしもアップライト・ピアノがコンソールに優るわけではないらしい。upright は文字通りグランドピアノを直立させたもの。背が高いのは、低音部がグランドピアノなみに響くためであるらしい。しかし狭小浅薄な日本の住宅で低音部がズドーンと鳴ったら(奏者は満足でも)ただの近所迷惑になるだけだ。調律師の津久井俊彦氏によると、コンソールの方が音のバランスがよいと言う。グランドピアノの形は、カーブして高音部は小さく(短く)なっているが、それは高音部には長い響板が不要であるからだ。その点、コンソールは背が低い分、高音部の響板が短くなっていて塩梅がいいらしい。その上キャプスタンが直接アクションに作用するので、その点ではグランドピアノのタッチに近いという。(アップライト・ピアノではピンが間に入って、高さを調整している。)
津久井俊彦氏のブログ

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