ブラザー15/16サイズが再生。試弾まもなく。
ヴィンテージもののブラザー細幅鍵盤(15/16サイズ)が甦りました。調律師ISAMU. H氏が二日かけて、簡易オーバーホール。今日ではおそらくISAMU. H氏しか駆使できない技術でしょう。昭和48年製(1973年製だから、ざっと47年もの)のGU-131。来月には浜松の工場から、修正・調整ずみのSteinbuhler-Walter社の細幅鍵盤(7/8サイズ)が戻ってくるので、2つの細幅鍵盤を試弾することができるようになります。
まず鍵盤の高さをチェック。影の出来方で、0,01mm単位の不揃いを
見つけ出します。ヤマハの工場では、カメラつきコンピュータが一気に
「〇〇番0,03mm高く」などと指示を出すので、従業員はスキル不要に
なっているとか。https://musil0723.sakura.ne.jp/dufyfan/wp-content/uploads/2019/10/1.adjustment-paper-punching-001mm.jpg
紙パンチング。0,04mmから0,06mm, 0,15mm など多数の厚さがあり、色分けされてもいる。
プロのピアニストになると、この0,01mmの違いが分るんだとか・・・
赤いフェルトがバランス・パンチング・クロス。この下に
紙パンチングがある。その厚さを調整すると、鍵盤の高さが
変わってくる。
ブライドル・テープの交換。旧アトラス・ピアノのブライドル・テープは、
触ると崩れるほど劣化していた。現在のヤマハのブライドル・テープに
交換する。しかしキャッチャーに膠(にかわ)で貼り付けた尻尾の部分が
こびりついて剥がれない。一個、一個、カッターで削り取って、ボンドで
貼り付けてゆく。確実に接着するまで時間をおく。これが88鍵分!
根気と忍耐がなければ出来る作業ではない。
アップライト・ピアノのアクション部分の
名称。ネットで調べたので、少々ちがって
いるかもしれない。
キャプスタン・ボタンを、針で回転させて、アクションを調整する。
レギュレチング・スクリューを、専用の器具で回転させて、アクションの調整。
打弦距離測定器。ハンマーから弦までは、46mmから48mmでなければならない。
そのほか、チューニング・ピンや弦も清掃。薄く油(Kure556)をひく、キャプスタン・ボタンの頭部のクリーニングなど。
写真を撮れなかった膨大な作業があった。
二日間にわたる大工事。これは即位の礼のお蔭。ふだんは帝国ホテルなどのグランドピアノの調律を引受けているISAMU. H氏
だが、即位の礼には各国元首などのVIPが宿泊するから、帝国ホテル、オークラなどは厳戒態勢。高速道路も都心部は閉鎖。
というわけで、田舎の Kurze Finger 宅に来てくれた次第。まことに有り難いことでした。