これが「ナンチャッテ・ピアノ」だ!

数年前、ボク Kurze Finger は、このSteinbuhler-Walter社のDS5.5のピアノの購入を「お勧めしません」と書いた。きわめて控え目な表現を、当時はとらざるを得なかった。なにしろその頃たった一機種の細幅鍵盤を、潰すわけにはいかなかったのだ。
でも、今はDS5.5のピアノは別会社、Hailun Pianos 海倫鋼琴が作っているという。(これについては謎が多く、ボクもよく知らない。)
今は忖度なく、Steinbuhler-Walter社のコンソールについてレポートすることができる。
1.譜面台。
ご覧のように、譜面台のあるべきところに、割り箸がセロテープでくっつけてある
楽譜が勝手にめくれないように、ふつうは譜面台の手前にカーヴしたストッパーがある。たとえばブラザー・ピアノの譜面台は、このようにカーヴしている。

まあ、当たり前のこと。ところが、わがSteinbuhler-Walter社の譜面台にはストッパーがなくて、ただ三列のデコボコがあるだけ。奏者が冊子形式の楽譜を置くことを想定していないのだ。

楽譜を見て弾く、という状況は想定外。「西部劇の酒場のピアノ」というISAMU. H氏の評言は的外れではなかったようだ。
2.鍵盤蓋のストッパー。
ご覧のように、鍵盤蓋の右端と左端に、調律用のゴムが食い込んでいる。なぜか?


もともと、鍵盤蓋は、引き出すかたちで、鍵盤を覆っていた。

これを奥に押し込んで、鍵盤を露出させて、演奏するのである。
ところが、弾いていてフォルテをガーンと弾くと、この鍵盤蓋が、ドーンと出てくるのだ。
下手をすると、噛まれて怪我をする。危険この上もない。

こおんな、おっそろしいピアノが120万円もするのだ。(これは、P技研工業のN氏による改造に起因するかも。とはいえ、改造なしには、弾けるピアノにはならなかった。)とにかく、ゴム製のストッパーを噛ませなければ、演奏なんかできない。
3.二点ソ、二点ラb が死んでいる。
鋼鉄のフレームが響板を覆っている箇所では、打弦がダイレクトに伝わりにくく、音が弱まる。(詳しくは、下の過去の投稿を参照のこと。)まともなピアノでは、他のキーの音を調整して全体のバランスを整えるのだが、このコンソールではそれができない。それゆえ、g2, as2の音が仮死状態のままになる。

これだけでは分かりにくいかも。
たとえば、ショパンのワルツ。流れのなかに、g2やas2が出てくる。

実際に弾くと、この「死んだ音」が穴となって、ショパンのメロディーにならないのだ。

MP4で聴くと、それほど違いは感じられないでしょう。おそらくデシベル数は2/3ぐらいになっている。ナマで弾いていると、自分が弾き損なったように聞えるのだ。
――というようなわけで、ボク Kurze Finger は、ショパンのワルツを弾くのはブラザー・ピアノにした。15/16サイズは少々苦しいのだが、ゾンビの穴のある7/8サイズ・キーボードよりはマシ。
このSteinbuhler-Walter社のナンチャッテ・ピアノも、調律師ISAMU. H氏と、P技研工業のN氏が何十時間もかけて、やっとここまでに補正してくれたものである。
日本のピアノ・メーカー様。なんとか、まともなピアノに、この細幅鍵盤を装着してくださいませんか。いつまで、多数を占める手の小さいピアニスト達が、苦労を続けなければならないのでしょうか?
参照:死んだ音について。

一年ぶりの調律


コマーシャルピアノについて。

『日本のピアノ100年』とコマーシャルピアノ

 

 

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