すし勘総本店に迷い込む

「なんだか場違いな客ですみませんね」と、思わず謝ってしまった。
チリ一つない店内には黒板もない、ホワイトボードの殴り書きもない。

目の前の「おすすめ」の文字も、なんだか正座して食え、と言っているようだ。
卓上に別のメニューがあったので、そこから「刺盛り」1,500円を頼んだ。

タコ、海老、あと何かを食ってから、気がついて写真を撮った。北寄貝は旬だから旨いに決まっている。しめ鯖もマグロもすばらしい。中のお兄さんが「海老の頭を天麩羅にしましょうか?」と聞いてきた。いや、揚げ物はもうダメなんです、というと、「では焼きましょう」と、奥でちょいと焼いてくれた。ものすごく立派なレモンの一片が添えられている。これを絞りかけて食ったら、口中がレモンの香りで一杯。「いかがですか?」、まるでレモンを食ったようだった。
法事で郷里仙台に行くと、三井ガーデンホテル仙台に一泊する。そこから徒歩ですし勘に行くのが定番。あとで知ったのだが、そこは一番町支店だった。今回は電話予約して行った。よく分からずにケータイに登録したその電話番号が、総本店だったというわけ。雰囲気がまるで違う。どうやら会社の経費で落とすような、接待用の店らしい。銀婚式の夫婦が自腹を切るぐらいか。
場違いな客をあしらう、カウンターのなかのお兄さんが抜群だった。イケメン

ボクがアサヒビールを飲み終えて(すし勘は以前はゑびすだった)、清酒一ノ蔵を頼もうとしたら「一ノ蔵無鑑査もありますけど、どちらになさいますか?」。メニューをよく見ると、ほぼ半額の「無鑑査」がある。もちろん無鑑査を頼む。このイケメン、名札を見るとハタケヤマ君。総本店のハタケヤマ君の握った寿司を食うために、東北新幹線仙台往復をやっても損はない、かどうかは、各人の判断によるでしょうな。(写真は許可を得て撮っています。)

中トロ。もちろん美味。

鰺。もちろん美味。

白魚。もちろん美味。

ガリ。珍しいことに、スライスせずに、丸ごと皮を剥いただけのガリ。系列のすし政とここだけ、とのこと。
写真撮影を忘れてあれこれ食いまくった。あなごは「今焼いてます」と、奥で焼いたものが出てきた。忘れがたい野趣(?)があった。最後は「のり汁」200円で〆た。会計は福沢諭吉でお釣りが来た。

深刻な問題は、このイクラなど(もちろん美味)を巻いて軍艦にしている海苔。この海苔が上等すぎるのだ。「うわっ!すごい海苔だ。これは相当ランク上位の海苔でしょう!」。白魚軍艦の海苔も上等すぎて、海苔の香りにネタが負けそう。ハタケヤマ君は「お客さんによっては、ウニは軍艦にせずに、ちょっと塩を振っただけで食べる方もいらっしゃいます」。うーむ。それが正しいのかどうか。海苔が上等なのがマチガイではないだろうか。素材を生かすためには、軍艦巻の海苔なんか、安物でいいのだ。海老の頭を焼いたら、しなびた蜜柑をちょいと搾るぐらいでちょうど良い。
もともと江戸前寿司はファストフードだった。戦前は立食いがふつうだったらしい。高輪の花火には浜辺に屋台が出て、江戸庶民がつまんでいたらしい。せっかちな江戸っ子がチャチャッとつまんで、あらよっと勘定を払って出て行く。
うーむ。食にもやはりMilieuというものがあるのだろう。ボク Kurze Finger にとっては、ホワイトボードの殴り書きで「殻牡蠣〇〇円」なんて出ている、ガサガサしている一番町支店の方が性に合う、というか、正しい寿司屋に思えてならない。

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