ベートーヴェンもショパンも細幅鍵盤を弾いていた
ベートーヴェンは身長162㎝。弾いていたピアノ(1804年)の1オクターブの幅は158.75mmだそうです。(現行のジャイアンツ用キーボードは165mm。)モーツァルトの身長は163㎝、シューベルトの身長はなんと156㎝でした。ショパンは身長170㎝。当時でもヨーロッパ人としては決して大きい方ではないでしょう。
ショパンの左手のデスハンドがあります。(ワルシャワの楽器店で500ズウォチで購入。)これは埋葬の直前に型取りしたものなので、若干縮んでいるという説があります。私の左手と並べてみると、ショパンの方が少々大きいし、とくに小指は長いけれども、それほど違いません(カメラの位置の関係でショパンの手が少々小さく写っています)。でもこの手で10度を押えられたとは到底思えない。
19世紀のピアノは、メーカーによってサイズはまちまちでした。黒鍵の長さも違う。ピアニストはメーカーに苦情や希望を言って、あつらえた。スーツをオーダーするのと同じで、背広上下は既定の1サイズしかない、なんてバカなことはなかったわけです。
19世紀はフォルテピアノの開発・発展の時期でした。ショパンはエラールやプレイエルのピアノを弾いていたけれども、鍵盤巾は現行よりは狭かったと言われています。ベヒシュタインは「リストが弾いても壊れなかった」のを売り物にしていたそうです。リストの身長は180㎝。現行の「標準鍵盤」(conventional:因襲サイズ)は、このリスト様用のものでしょう。このLLサイズ(中田喜直)を、モーツァルトもベートーヴェンもシューベルトもショパンも、弾きこなすことはできなかっただろうと想像します。
なおベートーヴェンのピアノについては、LittleHands さん(長年にわたって細幅鍵盤運動に従事)が詳しく説明しています。
http://littlehands782.blog.fc2.com/blog-entry-134.html