🎹 ショパン、ワルツ5番 A♭major, Op. 42を細幅鍵盤で弾いてみた
「これは弾けない曲」と50年前から決めていた。なにしろメロディーを奏でる右手の小指が、ずーーっと鍵盤を押さえていなくてはならないのだ。
とりわけ脚光を浴びるのは、2ー5問題だ。つまり第二指(人差し指)と第五指(小指)とのスパンの問題。
これまで拙HPでは、1ー5問題ばかり扱ってきた。ところが、ピアニストのなかには、オクターブはある程度届いても、その合い間にある2ー5とか、3-5とか、5を押さえっぱなしで2ー4を弾く、などの場合に苦労する方々がいるらしいのだ。
さてお立ち会い。ボク Kurze Finger の、2-5スパンは、14,2㎝しかない。
ところが、このショパンのワルツを弾くためには、かなりの余裕をもつ2ー5スパンが必要なのだ。
実際のキーボードを計測してみよう。
A~Bの間隔は、
標準鍵盤では 13.5 cm.
ブラザーピアノ(ほぼDS 6.0)では 12.5 cm.
Steinbuhler-Walter社のDS 5.5 では 11.5 cm.
これなら、まあ、なんとかなりそう。
次に、C~Dの間隔を計測してみよう。
標準鍵盤では 16.4 cm.
ブラザーピアノ(ほぼDS 6.0)では 15.5 cm.
Steinbuhler-Walter社のDS 5.5 では 14.4 cm.
つまり、どのキーボードであってもボクの指(14.2 cm)ではカヴァーできないのだ。
標準鍵盤で弾いたのでは、メロディー・ラインがブツブツに切れて、牛蒡の短冊切りみたいになってしまう。
しかしDS 5.5のピアノならば、ほぼほぼレガートで弾くことができる。
そこで、昨年8月にこのワルツ5番を解禁して、譜読みを始めた。後期高齢者にとっては、ほぼ毎日が初見。ドグラマグラの繰り返しから這い上がって、なんとか演奏動画を作成できそうになった。しかしDS 5.5の、この「ナンチャッテ・ピアノ」にはゾンビ音が2箇所あるため、このワルツ5番は諦めることにした。では、ボツにするのか? 10ヶ月の悪戦苦闘は何だったのか? ボクの青春、じゃない、晩年を返して! ――というわけで、ブラザー・ピアノで無理矢理弾くことにした。ブラザーはDS 6.0 に近い(それよりやや広い)ので、短い指にとっての難易度は、標準鍵盤とDS 5.5の中間。この『細幅鍵盤で弾いてみよう』の演奏動画では初登場になる。これは本物のアップライト・ピアノだから、ところどころショパンの音がする、ような気がする。納品は昭和48年(1973年)。今年でジャスト50年だ。
楽器+奏者で125年のヴィンテージ、いやポンコツ。