齋藤亜都沙ピアノリサイタル(5月17日、五反田文化センター)

今、ピアノ・リサイタルを聴くなら、齋藤亜都沙が弾く五反田文化センター・音楽ホールのスタインウェイに限る、と断定できるほど聴き歩いているわけではないが、お勧めであることは確か。

齋藤亜都沙については、たまたま、Youtubeで他の曲を探していたときに、伴奏者として齋藤が、ソリストの様子をしっかと見定めながら弾く姿に惚れてしまったことから始まる。小柄で可愛いけれども、いざとなると音量はものすごく、何よりも曲想が万全である。齋藤のインタープレタツィオーンを弾いている。だからよく分る。
ピアノはハンブルク・スタインウェイ D274 (象牙鍵盤、1988年製)で、スタインウェイ・ジャパンの荒木大亮氏が、開始まえも、Pauseでも、高音部を念入りに調律していた。(この音楽ホールには、もう一台スタインウェイ D274 がある。)
この音楽ホールの設計は永田音響設計。サントリーホールや東京芸術劇場なども手がけたという。ステージの天井が高く、客席奥に向かって低くなっている。250席の小規模ホールだからこそ、自分ひとりの貸切のような、あるいは往年のパリのサロンで聴いているような、intim な雰囲気で聴くことができる。
この日のプログラムは、J. Brahms Op.9. R. Schumann Op. 133. S. V. Rachmaninov Op. 36 だった。あまりなじみのある曲ではなかったが、Youtubeで予習したので、ある程度は分ったような気がする。
来年を楽しみにしたい。
齋藤亜都沙のホームページ

連句

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