具体的に、どのようにして細幅鍵盤をゲットするか?

アクション部分を取り外したブラザー・ピアノ。弦もフレームもこのままでOKです。

 

 

ある反対派の方が「子供が大きくなるたびにピアノを買い換えるなんて出来ないわ」といったとか。
失礼ながら「バカも休み休み言ってください」と申し上げます。
アップライト・ピアノの場合
私がもっているブラザーの細幅鍵盤を例にご説明します。サイズはほぼ15/16になっています。
まずピアノ本体はそのままでよいのです。(ブラザー・ピアノの場合はアトラス・ピアノをベースに鍵盤だけ入れ替えています。)

取り外したアクション部分。このままでよい。

アクション部分(ハンマーなど)もそのままでOKです。変える必要はありません。

 

ブラザー・ピアノ(15/16)の鍵盤部分。ここだけ入れ替えればよい。

変えるところは、木製のキーボードだけです。

私が計測した、一本のキー。これは約15/16サイズ。それぞれのサイズに応じて、木部の幅と角度を変えるだけでよい。

要するに、木製のキーから上向きに突出している棒、キャプスタンが、アクション部分の受け皿(=ウィペン Whippen)に正確に当たれば、ピアノは鳴るのです。
ですから、たとえば町工場で(町工場でよいかどうか不明です。材質、バランスなどを考えると、やはりピアノ・メーカーに作ってほしい。)それぞれのサイズに適合したキーボード(木部)を1セット作成してくれたら、それを調律師さんがアップライト・ピアノに設置して調整してくれれば、それでよいのです。なお同じ88鍵でも全体の幅は狭まるので、低音部の左側にあるカバー(黒い枠の部分)も長いものになります。
細幅鍵盤なので、高音部と低音部のキーボード(木部)は「く」の字に曲がります。それは現行のアップライト・ピアノのキーボード(木部)でも同じであって、弦とフレームが目一杯に拡がっているため、どうしても高音部、低音部のキーボード(木部)は「く」の字に曲がっています。
タッチに微妙な差が出るのでは?
と心配する向きもあるようです。うーむ。厳密にナノ単位で計測すれば、きっと何らかの差違はあるでしょう。でも私は無視して構わないレベルだと思います。ヨーロッパではアップライト・ピアノは「ピアニーノ(pianino)」つまりイタリア語で言うと「ピアノちゃん」です。もともとのクラヴィーア(Klavier)の代用品です。グランドピアノでは打鍵のあと重力でキーボード(木部)が落ちるものを、アップライトではバネにより無理矢理離脱させます。もともと無理があります。「く」の字の角度が変わったからといって微妙なタッチがどの程度変化するか。それを気にするよりは、ピアノを弾く方の楽曲理解とか、詩的感受性とか、教養の方が大きいウェートを占めるのではないでしょうか。

「タッチが適性でも、指が届かないピアノは、何の意味もない」
のです。

グランドピアノの場合
グランドピアノの場合はもっと簡単です。オプションのキーボード・ユニットを、スポンと入れ替えればそれで終りです。
えーと、つまりアップライトと違って、グランドピアノのキーボードは横に寝ているだけですから、それをズルーっと引き出して、別のキーボード・ユニットをするするっとはめ込めば、それで演奏可能になります。このやり方でダラスでは「選択可能なピアノ」によるコンクールが開催されています。たとえばテレビ放送でショパン・コンクールの調律師の戦いをご覧になった方は、キーボードが一気に入れ替えられる様子をご存知でしょう。

シュタインビューラー社の4つのオプション
あれこれの細幅鍵盤がアナーキーに併存しているわけではありません。選択肢は4つ。これは米国ペンシルヴァニア州のシュタインビューラー社が提唱し、特許等は取らずに世界にオープンにしている規格です。まずDS5.1(3/4)鍵盤、つぎにDS5.5(R) (7/8)鍵盤、そしてDS6.0(R)(15/16)鍵盤、最後に通常のDS6.5(ノーマル、つまりジャイアンツ用キーボード)です。ピアノ愛好家は、自分の手のサイズに合わせてキーボードを選べばよいのです。成人であっても、たとえば現在のジャイアンツ用キーボードで1オクターブ届かない女性などは3/4サイズとか7/8サイズとかに変えるだけでよいのです。もちろん最初から楽器店でオプション・キーボードのピアノを売っているなら、そこで選べばよいだけです。(私はふだん24インチの自転車に乗っています。自転車は子供のことを考えて、14インチ、16インチ、18インチ・・・と2インチ刻みで28インチまで製造されています。どうしてピアノだけ、単一のジャイアンツ用キーボードに固定する必要があるのでしょう。)

電子楽器(エレクトーン、キーボードなど)の場合
これはアコースティック・ピアノとちがって、鍵盤をスポンと入れ替えるわけにはいかないようです。基板から、そしてキーボードのプラスティックの成形のための型から作り直すことになります。かなりのコストがかかるでしょう。しかし一旦オプションのキーボードを作成してしまえば、あとは量産が可能です。
日本は「サイレント・ピアノ(!)」などという不思議な楽器が開発される土地柄です。つまり劣悪な住宅事情から、音を殺して、深夜にヘッドフォーンで聴きながら練習できる電子楽器であって、将来的にはむしろ伸びしろのある分野です。オプション・キーボードが伸びるかどうかは、音楽愛好家が偏見に囚われずに自分の楽器を選ぶかどうかにかかってくるでしょう。

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