「蔦の雨」の巻

第386回「蔦の雨」の巻
よろしければ上記PDF(緑の文字)をプリント・アウトして、以下のコメントをお読み下さい。(なお前回第385回は七緒欠席のため、アップしません。)
1句:10月の立句は順番で七緒に。ふつう立句は「丈高く、堂々として」、歌仙一巻を率いるもの。ところが苦吟中の9月半ばは台風続きで、降り籠められていた。やむなく雨の晩に門灯に照らされた蔦の葉を詠んだ駄句。赤煉瓦と蔦の濡れた緑の組み合わせ、のつもり。
10句:セーター(冬)からヴァイキングなど北欧を連想して。約20年前ヘルシンキからストックホルムまで Viking Line のシンデレラ号(約5万トン)で航海した記憶。夜のバルト海に反射する、ほかの豪華客船数隻の灯も綺麗だったが。翌朝船は入り組んだ半島をゆっくりとストックホルムに向かって航行。一等船室(三方が窓)の全面に、針葉樹林が拡がり、それが何時間も続く。忘れがたい光景だった。なお係員の手違いにより(?)ユーレイルパスにチェックが入らなかったため、1日無料で船旅を楽しむことができた。
15句:黄金虫(夏)からエドガー・アラン・ポーを連想。ポーの死は謎めいている。ボルティモアの酒場で泥酔状態で友人に発見され、4日後に亡くなった。他人の服を着せられていたという。一説には cooping の犠牲になったとするものがある。当該の10月3日はメリーランド州の州議会選挙の投票日。旅行者や乞食などに酒を飲ませるなどして投票させる行為が横行していたという。(発見された酒場が投票所だった。)死亡証明書、診断書などはすべて紛失しているという。
17句:国分寺駅北口に広大な日立研究所がある。その中に野川の源流がある。恋ヶ窪は野川が削って出来た。4月の某日、花見客のため年に一度だけ日立研究所が門を開放する。来年はぜひここで花見をしたいものだ。
21句:そのままです。お昼すぎに幼稚園児が、送迎バスに乗るまえに「センセイさようなら、みなさんさようなら」と斉唱するのは、見ても聞いても気持ちがいい。
27句:このあたり(26句~27句)は恋の座なので。「オリーブ」から地中海に出かけた。クレタ島の迷宮の奥でミノタウルスを殺したあと、アリアドネーの渡した糸玉の糸を手繰って、テセウスは無事迷宮を脱出した。新酒は秋。
30句:スターバックスの創業者の一人が作家で、海好きだったため、メルヴィルの『白鯨』に出てくる一等航海士スターバックから名前をとったとされる。なおロゴマークの女性は、もともとギリシャ神話に出てくるセイレーンだったという。
33句:歌仙を巻いている現場では最初「初雷」(春)だった。7句の「初雪」と字重なりになることに気づき、「啓蟄」(春)に修正。ネットで調べると、「蟄雷」「驚蟄」などあるが、紙媒体の季寄せに出ていないので採らなかった。10月14日投開票されたバイエルン州議会選挙でキリスト教社会同盟(CSU)と社会民主党(SPD)の得票率が大きく落ちこみ、極右の「ドイツのための選択肢」(Alternative für Deutschland)が初めて議席を獲得、「緑の党」も得票率が倍に。もともとメルケルはキリスト教民主同盟(CDU)。バイエルン州だけCSUがあって、CDUと連携している。そのバイエルン州のCSUの党首、ゼーホーファーがメルケル政権の内相で、メルケルの移民政策を厳しく批判。この選挙結果は「政権の内紛」に対するものなのか、CSUの右傾化に対するものなのか、つぎのヘッセン州の選挙がはっきりさせてくれそう。