両手が「安美錦」になってきた

左手の小指がバネ指になった。Dr.酒井に見せると「あー、引っかかってますね。」と淡々とした様子。
「痛みますか?」「ピアノを弾くと痛いです。」Dr.酒井は無言。ピアノを弾かせながら治す、という保存的治療がDr.酒井の方針だ。「貼る場所が増えてきたので、湿布薬をもう少し増やしてください」と頼んだ。(薬は一週間分しか出してくれない。)その時は小指だけ話題にした。けれども、中指と薬指のあいだ、薬指と小指のあいだも、腫れている。押すと痛い。これも腱鞘炎なのだろうか? 調べるとここは「腱間結合」という部分であるらしい。
つまり腱と腱のあいだをつないでいる、これは筋なのか軟骨なのか(どこにも書いてない)、これが傷んでいる。
右の図は右手の甲なので(大阪大学全学教育推進機構より)裏側がどうなっているか不明ながら、とにかく腱と腱の間の痛む部分だから、腱間結合の炎症だろうと思う。その原因は? バネ指は、オーバーホールされる前のブラザーピアノを弾いたためかもしれない。つまりアクションのエスケープ機能が劣化していたために打鍵の衝撃が手指を痛めた可能性はある。でも腱間結合は? 無理に指の巾を拡げて弾いたためではないだろうか? それともただの老化現象なのか?
安美錦という40歳で引退した関取がいる。レジェンドと言われる。彼はアキレス腱断裂はじめ満身創痍。いつテレビで観ても包帯やらテープやら白いものでぐるぐる巻きになっていた。山藤章二がむかし「似顔絵塾」のコラムで、安美錦はいっそのこと全身を包帯で巻いて「ミイラ男」として売り出せば、海外巡業なんかで受けるんじゃないか、と書いていた(ウロ覚え)。ボク (Kurze Finger)もこの調子だと両手が安美錦になりそう。相撲は肉弾戦の格闘技だから、 怪我はつきもの。いったい何時からピアノが格闘技になったのだろう
そういえばルース・スレンチェンスカ(Ruth Slenczynska 1925-)が95歳にして4月に紀尾井ホールでリサイタルをする。(折からの新型コロナウィルス騒ぎ、開催されるか不安だ。)4歳でリサイタルを開き、9歳で急病のラフマニノフの代役を務めた彼女こそレジェンド。ヨーゼフ・ホフマンにも師事している。身長147㎝。グレゴール・B氏の勧めもあって、彼女にメールを送り、わが家の15/16サイズ、7/8サイズの細幅鍵盤を試弾しませんか、と誘ってみた。返信はすぐ来た。「興味深い情報をありがとう。長年にわたって標準鍵盤ピアノと格闘することを覚えたので、私の指が、習得したことを喪失することを望みません。(・・・)」とのこと。原文は “After all these years of learning to cope with regulation sized keyboards I don’t want my fingers to lose what they have learned!
この cope with は、まさに闘う、克服する、という意味だろう。――してみると、彼女にとってはピアノは格闘技だったのかも。
2005年(80歳!)の岡山でのラストコンサートのCDをもっているが、手が小さいという予備知識のせいか、ステレオから出る音が張り詰めていて、悲壮感というか、息詰まる感じで、ボクとしては、とても聴いていられない。まだ数曲しか聴いていない。

 

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