第398回 「酔芙蓉」の巻

第398回「酔芙蓉」の巻(改) 酔芙蓉の巻
1句。お酒を嗜まない果穂さん。白→ピンク→紅、と色を変えてゆく酔っ払いを静かに観察しているようです。
6句。南州は西郷隆盛のこと。月を愛でる宿の部屋は、明かりを抑えているので、揮毫の額もぼんやり。
9句。俤(おもかげ)は故・玲子さん。北大演劇部でチェーホフを演じていた。配偶者も同演劇部。
12句。前の「目を覚ます」から。いばらが夏。
17句。台風15号、19号、21号、と、とりわけ千葉県がひどかった。江戸時代なら、治水奉行は切腹だろう。住宅ローンは徳政令でチャラになるだろう。現代は江戸時代よりひどい。100人近い国民が死んでいるというのに、国土交通省、各県の該当部局の責任は、問われているのだろうか? 住宅、車、学資のローンで肥え太っている銀行は、何をしているのか? ここは国民搾取国家、国民遺棄国家なのでは? (興味のある方は、HP『不名誉教授の徘徊』をご覧下さい。)
24句。ラグビー・ワールドカップも、釜石を襲った台風のために、お流れになってしまった。
27句。『ゲンセンカン主人』は、言わずと知れた、つげ義春の代表作(『ねじ式』の方が有名かも)。そこでは主人公が、薄暗い湯殿で一心に念仏を唱える女将に襲いかかる。
32句。前句はシューベルトの「菩提樹」の一節を想起させる。関口存男(ドイツ語文法の権威)が書いているように、Lindenbaum(一般的な訳語「菩提樹」は不適)は若者を、「ここで死になさい」と誘っているのです。