「菩提樹変貌」

シューベルトの「菩提樹」に関するあれこれを、『芸術のリノベーション』(中央大学人文科学研究所編、中央大学出版部、2020年)に執筆しました。導入部は、Lindenbaum は菩提樹ではないというところ。もともとインドに生育する菩提樹は、北方の中国では育たないため、いわば代用菩提樹として、中国人はシナノキを菩提樹と呼んで、寺などに植えた。それを留学した日本の僧が持ち帰って、そのまま菩提樹とした。ヨーロッパに自生するLindenbaum は、まったく違う植物。それを、明治初期にドイツ語が入ってきたときに、オランダ語の辞書からそのまま敷写して「菩提樹」としてしまった。(なお現代の独和辞典では、Lindenbaum はシナノキとなっている。)そのおかげで、あれこれ妙ちきりんなことになってしまった。
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