新たな難問が浮上

いつものように弾いていたら、右手中指の先端の右側面が痛くなった。腫れている。
これは無理もないのであって、そもそも7/8サイズの黒鍵間のスペースが狭すぎるのだ。
白鍵「ソ」の上部の幅は、実測で11mmしかない。両サイドのクリアランス(=カットする鋸の歯の幅)を含めれば、13㎜ほどになろうか。ボクの右手中指の先端の幅は、実際には18㎜ほどある。入るわけがない。

これは細幅鍵盤ピアノだけの問題ではないらしい。誰かのホームページには、標準鍵盤を弾いていても「自分の中指は太いので、いつも擦れています(笑)」という記載があった。標準鍵盤であっても、中指が擦(こす)れているのだ。変ホ長調(Eb)の三和音を弾くなら避けて通れないのがソ(G)の白鍵上部であって、弾くたびに指先が擦れる。日に何十回、何百回と擦れるから、第1関節が傷む可能性もある。(なお患部は、イソジンを塗ってバンドエイドで巻いて数日で治った。深爪が原因で化膿したらしい。)
とにかく痛いので、2~3日ショパンの『黒鍵』だけ弾くことにした。すると、指が黒鍵から外れる。下手なせいでしょう、もちろん。でも下手なだけでもないらしい。黒鍵の幅が狭すぎるのだ。ベヒシュタインの黒鍵と、Steinbühler-Walter社の黒鍵を比べてみた。
ベヒシュタインだけでなく、標準鍵盤のピアノでは、黒鍵の上辺の幅は10㎜である(9,5㎜のものもある)。Steinbühler-Walter社の7/8サイズのピアノでは、7㎜になっている。これはおかしい。

 


Steinbühler-Walter社の鍵盤は、7/8サイズであるから、標準鍵盤を1とすれば、0.853になっているはずだ。したがって黒鍵の上辺は、8,53㎜になっていなければならない(ないし8,1㎜)。なぜ7㎜になっているのか? (左の表は(c) 私は何からできているのか、より)
おそらく黒鍵間のスペースを広くするために、それぞれの黒鍵を比率以上に細くしているのだろう。なぜか?
あれこれ調べて分かったのだが、そもそも標準鍵盤のピアノであっても、黒鍵間のスペースはレ(D)の上部と、ソ(G)、ラ(A)の上部とでは幅がちがっているのだ。詳しくは、ミナズキさんの「鍵盤の幅は全部同じ?鍵盤の不思議」をご覧下さい。
左の図は、「ぴあのピアノ」さんのHPにあったもの。白鍵上部Aと、Bとでは、Aの方が35分の1aほど幅が広い。(aは白鍵の幅。)ミナズキさんによれば、標準鍵盤ではAが0,67㎜ほど広い。

左の図は(C) 私は何からできているのか に提示してある、ベヒシュタインの鍵盤のサイズである。ご覧のように、レの上部は13㎜だが、ソとラの上部は12㎜になっている。
なぜかというと、ド、レ、ミの白鍵3本のスペースで、#ド、#レも含めた5本のキー(アクションを作動させる木材)を収めているのに対して、ファ、ソ、ラ、シの4本のスペースには#ファ、#ソ、#ラも含めて7本のキーを収めなければならないからだ。
それゆえ、白鍵ソとラの上部が窮屈になっている。この標準鍵盤の方式をそのまま7/8サイズのキーボードに適用すると、白鍵上部が恐ろしく窮屈になるから、黒鍵を細くしたのであろうと推測する。それがマチガイなのだ。
白鍵の幅はすべて均等でなければならない、という前提が元凶なのである。

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